MaaS Tech Japan

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地域交通の課題解決とデジタル田園都市国家構想を後押しするMaaSプロダクト提供開始

 株式会社MaaS Tech Japan (本社:東京都千代田区、代表取締役:日高 洋祐、以下当社、https://www.maas.co.jp/) は、あらゆる移動データを統合・分析し、データに裏打ちされた交通施策を導くMaaSプラットフォーム「SeeMaaS(シーマース)」の第2弾として、「SeeMaaS ベーシックエディション」を2022年12月2日より提供開始します。

背景

 長期的な人口構造、地域構造の変化に加え、新型コロナウィルス感染症影響の長期化により、地域経済・生活の生命線である地域公共交通は、存続が深刻に懸念される状況にあります。これを受け、国土交通省の検討会*1や内閣官房「デジタル田園都市国家構想」*2において、官と民、交通事業者間、他分野との「共創」を推進し、地域交通を持続可能な形で「リ・デザイン」(再構築)する方策が提言されています。 提言においては、「ステークホルダー間で利用状況などの関連データに係る情報の非対称性を可能な限り解消し、それぞれの課題を共有しつつ、未来志向での丁寧な調整、建設的な協議」が必要との考え方や、「データやファクトに基づく協議」の重要性が示されています。
 これらの実現には、どこから(出発地)どこまで(到着地)どのくらいの人が移動をしているのかを示す移動実績データ*3を地域全体で把握・分析するとともに、将来推計人口や人流データといったMaaS関連データを組み合わせて深い考察を行い、地域住民や公共交通利用者と向き合うことが必要と考えます。地域全体でのデータ把握・分析には、自治体や交通関連事業者が連携し、様々なデータを統合することが必要不可欠ですが、各事業者が保有するデータの形式やシステムの違いにより、データの統合は困難な状況にあります。
 このような課題を解決するために、対象エリアにおける移動実績データおよびMaaS関連データの統合・連携、可視化・分析を簡易かつ安価に実現するMaaSプラットフォーム「SeeMaaS ベーシックエディション」の提供を開始します。

■概要・特長

(1)特長

複数モビリティの移動実績データを統合・連携可能
 異なる事業者・異なるモビリティ*4間の移動実績データを統合・連携することが可能です。これにより事業者間を跨るデータ分析が可能となり、効果的な施策の検討、その交通施策が各交通機関に与える影響のモニタリングを、1つのプラットフォーム上で実現できるようになります。

②MaaS関連データの活用が可能
 移動実績データに加えて、MaaS関連データ(将来推計人口、人流データなど)との統合・連携が可能です。バスや鉄道の移動実績データと人流データを組み合わせて分析することで、例えば、人の移動は多いのにバスや鉄道の移動実績が少ない地域を把握して潜在需要を把握するなど、これまで見えていなかった交通課題の可視化が実現できます。

(2)提供する可視化・分析メニュー

 今回のリリースでは移動実績データの可視化・分析に関するメニューから提供開始します。

①モニタリングダッシュボード
 複数の交通機関の利用者数を、時間・曜日別、路線別、利用者別、乗降場所別などの視点でグラフや地図上で可視化します。施策や外的環境が複数の公共交通に与える影響を総合的にモニタリングし、各交通機関の利用者増減を様々な角度から検証できます。

左図:複数路線を統合した小地域別利用者数  右図:複数路線を統合した曜日別利用者数

②区間別利用者数分析
 時間別×区間別で利用者数・運行便数を集計し、1便当たりの平均利用者数を地図上に可視化します。利用者の多い、もしくは、少ない区間・時間帯を確認することができ、需要に合わせた運行形態や運行スケジュールを検討できます。

図:路線の各区間における1便当たりの平均利用者数
(3)提供開始日

2022年12月2日

(4)今後の活用予定例

①活用地域:
 石川県金沢市
②期間:
 2022年12月~
③導入背景:
 金沢市は市内に鉄道、路線バス、コミュニティバス、シェアサイクルなど多様な交通機関があり、令和3年に「金沢MaaSコンソーシアム」が立ち上がり、MaaSアプリの開発や交通機関を横断した企画乗車券等の検討を進めています。MaaS施策は多くの交通機関、施設、人流に影響を与えるため、これらのデータを統合・連携し施策の計画・検証を進めることが重要です。このため金沢MaaSコンソーシアムでは、「SeeMaaS」を用いた各交通課題の把握、施策の効果検証を行うプロジェクトの実施が検討されています。

■今後の展開

 今後SeeMaaSは、今回リリースする分析メニューに加え、将来推計人口、人流データ、天気、消費などのMaaS関連データを活用した分析メニューも拡充し、デジタル田園都市国家構想の推進や地域交通のリ・デザイン、自治体における交通版EBPM*5の実現を支援するプロダクトして、自治体、交通事業者、一般企業へ展開していきます。また、脱炭素、医療、物流、観光、防災等のスマートシティBeyondMaaS軸での分析パッケージの提供も予定してます。

■本件に関するお問い合わせ先
コーポレート(広報)
pr@maas.co.jp


*1 鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会 及び、アフターコロナに向けた地域交通の「リ・デザイン」有識者検討会
*2 内閣官房「デジタル田園都市国家構想」
*3 出発地と到着地(目的地)の組み合わせごとの利用者数を表すデータのこと。英語のオリジン(Origin)+デスティネイション(Destination)を組み合わせて「ODデータ」とも呼ばれます。
*4 SeeMaaSのコア技術である「TraISARE(トレイザー)」では、鉄道、バス(交通系ICデータ)、デマンドバス、シェアサイクル(利用ログ)、自動車(移動履歴)、電動スクーターの移動実績について取り扱い実績があります。
*5 EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政立案)とは、政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすることです。