【金沢市×北陸鉄道×MTJ】データ分析で見えた金沢MaaSの現状とこれからの進む先

高齢化や過疎化が加速する中、全国各地では地域交通の維持発展を目指し、MaaSをキーワードに、官民連携でさまざまな取り組みが進められています。

本記事で登場する金沢MaaSはまさに全国的な先進事例の一つで、金沢市や北陸鉄道株式会社(以下「北陸鉄道」)などが中心となって、デジタル活用を通じ、公共交通の持続可能性を確保しつつ新サービスを構築することを目指しています。

株式会社MaaS Tech Japan(以下「MaaS Tech Japan」)も、金沢でのMaaS推進に取り組む「金沢MaaSコンソーシアム」の組成タイミングから参画。(正確には、その前身的な位置付けにある「金沢市次世代交通サービスあり方検討会」から委員の一人としてMaaS Tech Japan代表 日高が加わらせていただきました)
令和5年度事業では実際に、人の移動実態と公共交通実績などに関するデータの比較・分析によって地域公共交通の課題解決を目指すべく、MaaSプラットフォーム「SeeMaaS」を活用した事業に携わる機会をいただいています。

”データ” や”MaaS”と聞くと、難しかったりややとっつきにくかったりとイメージが湧きにくいものの、移動は私たちの日々の生活に密接に関わります。地域が抱える移動課題とその解決に向けてどんなことをしたのか、本記事では金沢MaaSコンソーシアムの誕生から、SeeMaaSでの取り組みの振り返り、これからの目指す姿に至るまでを事例を交えながら紐解きます。

金沢市に関わらず、持続可能的に移動できる地域づくりは日本全体の課題。今回の対談が他の自治体や交通事業者の皆様、地域住民の方々にとって、何かの一助になれば光栄な限りです。

金沢MaaSコンソーシアムのキーパーソンたち

舞台は金沢市庁です。

金沢市庁

金沢MaaSコンソーシアムの取り組みや思い、今後成し遂げたいことを語ってくださったのはこちらのお三方。

右から、北陸鉄道 常務取締役(企画開発部担当)加藤 大勝氏中央に、金沢市役所 都市政策局 交通政策監 近藤 陽介氏左に、MaaS Tech Japan プロダクト事業部門 ディレクター 冨増 直樹
※いずれも取材当時(2025年6月時点)

地域の移動をもっと持続可能に、そして便利で快適にしたいという共通のゴールを掲げ、それぞれの立場からプレスリリースや議事資料だけでは伝えきれないことをたくさん教えてくださいました。

それぞれのご紹介

金沢市(金沢MaaSコンソーシアム)

金沢市長が発起人となり、2021年8月設立。多様な移動手段による移動と、移動の目的である買い物などの多分野のサービスがシームレスに提供される環境を整備し、市民らが便利・自由・快適に移動できるまちづくりを官民連携で進めることを目指している。正会員には、市内の広域的・日常的な移動の多くを担う交通事業者などが在籍している。

画像クリックで、金沢MaaSコンソーシアム 公式HPへ遷移

北陸鉄道

1943年創業。「人々の日常生活を支え、誠実に行動し、信頼される身近な存在として地域社会に貢献する」を企業理念に掲げる。バス事業や鉄道事業といった、地域を支える公共交通、生活をより豊かにするサービス、最新の技術を取り入れながら、さまざまな事業を展開するグループ会社ともに地域のよりよい発展を目指している。金沢MaaSコンソーシアムの正会員であり、代表幹事を務める。

MaaS Tech Japan

2018年創業。「100年先の理想的な移動社会の基盤を構築し、移動社会を高みにシフトさせる」ことをビジョンに掲げ、データドリブンの最適な交通ソリューションを提供する。移動データを結合・可視化するシステムやMaaSアプリといったプロダクトやサービスの展開を通じ、それぞれ異なる課題を抱える都市や地域ごとにさまざまなモビリティデータを利活用することで、交通のDX化を推進している。

コロナが、交通に関わるプレーヤーらを一致団結。持続性ある公共交通を模索するコンソーシアム発足

金沢と聞くと、国内外からたくさんの観光客が訪れ、賑わいに満ちた都市、、といったイメージが浮かびます。筆者も何度か金沢へ旅行したことがありましたが、バスの利便性も高く、とても移動しやすいと感じた記憶が残っています。

画像提供:金沢市

金沢市は古くからの街並みがそのまま多く残っているのが特徴。道幅が狭いところも多い中で景観を損ねないようにしつつ、自家用車に頼りすぎず、かつ便利に公共交通を使ってもらえるためのまちづくりがかねてより模索されてきました。

北陸鉄道より:まちなかを走る路線バス

金沢市の近藤氏によると、もともとの発端と現在のコンソーシアムと立ち上がりの経緯が異なるそう。大きく舵が切られたのは”コロナウィルスの感染拡大”でした。

金沢市 近藤氏

当初は金沢市次世代交通サービスあり方検討会(2020年8月設置)という形で、情報通信技術(ICT)を活用し、過度にマイカーに頼りすぎず、どうしたら便利に公共交通を使ってもらえるか、の観点からMaaSのまちづくりを模索することを目的にしていました。北陸鉄道さんをはじめとする地場の移動を支える交通事業者はもちろん、他国のMaaSやモビリティ界隈の情報もお聞きすべく専門家の立場からMaaS Tech Japan代表の日高さんにも加わっていただいています。

約半年間、検討会の委員の皆様と議論を重ねたり、知見やアイデアを共有いただいたりを経て、2021年2月に提言書として取りまとめられるに至りました。

しかしこの頃、世界的なコロナ禍に見舞われはじめます。状況もよくわからない中、人と人との接触を避けなければいけない時代でした。

金沢市 近藤氏

金沢でも人流が止まりました。如実に影響が目に見えて現れ、移動に関わる事業者はみなそうですが、地元の交通を支える北陸鉄道さんも例に漏れず。
公共交通をもっと便利にしていこうと言っている場合ではない。人々の生活を支える公共交通の運用継続が危ぶまれる中、「まずはコロナ禍で激減した利用者に戻ってきてもらうにはどうしたら良いか?」という急務な課題に対し、皆一丸で解決していく必要があるとして金沢MaaSコンソーシアムが組成されました。

普段は切磋琢磨してライバルともされる交通・移動に関わる方々同士ですが、コロナという未曾有の事態に対し、なんとか力を合わせて危機を乗り越えようと意識が高まったのも事実。
こうした地域の交通事業者さんたちを結びつけ、ハブとしての役割を担ってくれたのが、コンソーシアム代表幹事を務める北陸鉄道だったと近藤氏はいいます。参画の意義について北陸鉄道の加藤氏もこう振り返ります。

北陸鉄道 加藤氏

コロナ前からも全国的な人口減に伴い、中長期的には利用するお客様も減ってくることに対してぼんやりと課題感がありました。しかし、そこまで意識として強くはありませんでした。

大きな転換点はコロナ禍です。

人流が途絶えるといった有事の状況は1社だけで打破できるものではなく、ステークホルダー全員で力を合わせないと乗り越えられません。公共交通の持続性が問われる局面、コンソーシアムという形で団結しようとなりました。

各者が知見や”資産”を持ち寄る協力体制のもと、不透明な現状を巡る課題解決の糸口としてデータ活用へ

コロナを一緒に乗り越えようという同じ気持ちが、コンソーシアムを構成する方々同士の絆を強くしたのでしょう。実際、コンソーシアムではそれぞれの強みや立場を生かし、支え合う強固な関係性が構築されたと伺いました。

近藤氏によると、事務的な運営はもちろん、優先してやるべきことや方向性に向けて実現させていくのは金沢市が担当。とはいえ行政では全体の大枠を整えることはできても、中身が伴わないと何も進まないといいます。

金沢市 近藤氏

北陸鉄道さんには、実際に地域で交通事業を担いリードする立場として動いていただきました。加藤さんもおっしゃっていましたが、競い合うだけではなく協力し合う。そんな雰囲気を北陸鉄道さんが醸成してくれていました。

一方のMaaS Tech Japanは強みのデータ分析・活用や交通分野の知見・ノウハウの面から密にサポートしてくれたとコメント。

金沢市 近藤氏

検討会時代からもそうでしたが、MaaS Tech Japanの日高さんからは、データをもとに現状を分析することで課題解決の糸口が見えると聞いていました。『コロナで人流は減った、でも何をしたらよいかわからない』そんな時、こういうデータがあると進め方がわかるとご提案をいただいたり、こちら側の要望に親身に対応してくれました。

MaaS Tech Japanの冨増も、MaaSやモビリティ、交通の領域に関する知見を提供するとともに、課題に合わせてデータをうまく活用して支援したいとの思いで臨んでいたと振り返ります。

MTJ 冨増

我々はデータを分析し、そこからの気づきをもとに施策を提案することはできますが、そもそもデータセットがないと何もできません。何がありがたかったかというと、その重要で貴重なデータを北陸鉄道さんがお持ちであったこと、またそれを地域のために惜しみなく提供してくれたことです。大きな決断だっと思いますし、本当に感謝しかありません。

この決断に対し、北陸鉄道の加藤氏はコンソーシアムへの取り組み姿勢に絡め、”金沢市の公共交通は、つまりは北陸鉄道のメインエリア”であることを踏まえ、自社最適ではなく、エリア最適で動くように意識していたと説明。自社内に貯まっていたデータの活用方法についても持て余していたと加えます。

北陸鉄道 加藤氏

当時、蓄積していたODデータ(乗車地と降車地などからバスの利用状況を把握するためのデータ)をもっと活かすよう社内からも声が上がっていたのですが、なかなか手が回っていませんでした。いわゆる中小規模の交通事業者には、データをうまく扱える人材も体制も整っていませんし、そもそも人も足りていない状態。

MaaS Tech Japanさんはそれらを適切に使ってくれましたし、何よりファリシテーターとして立場の異なるコンソーシアムのメンバーの目線を合わせつつ、しっかり巻き込んでいただいたのは心強かったです。

データの活用と一口に言っても、やり方は無限大であるとともに、データに明るくない立場からすると難しいし、扱い方もわからないもの。

コンソーシアムでは「のりまっし金沢」などさまざまな事業が進められています。近藤氏も加藤氏も、MaaS Tech Japanとの連携について、ぼんやりした悩みであっても、さまざまな角度から何ができるのか、具体的に提案やアイデアをいただけたことがありがたかったと評価。

金沢市 近藤氏

本連携で使ったMaaS Tech Japan開発のMaaSデータ連携基盤「SeeMaaS」は検討会のときから活用を模索していました。このSeeMaaSは人流データとかODデータなどさまざまなデータを組み合わせて地図上などで可視化することができる便利なシステムだと感じていました。

詳しくない我々からしたら『このデータを使って◯◯を知りたい』『このシステムの〇〇の機能を使いたい』と解像度の高いものではなく、もっとぼんやりと『公共交通機関を使ってもらうにはどうしたらいいのか』といったレベル感で悩んでいました。

北陸鉄道 加藤氏

私からも、データを分析した上での提案が非現実的なものだと困ってしまうので、MaaS Tech Japanさんには、実行に移せるような分析をお願いしていました。

これらのリクエストに対し、『こんな分析をしたらいいんじゃないか?』『このお困りごとならこうしたら答えが見つかるのではないか?』と反応してくださって、MaaS Tech Japanさんの存在はコンソーシアムの拠り所となっていましたね。

加藤氏は続けて、どうしても中小規模の交通事業者は自分たちの事業に手いっぱいで、同じ領域であっても他地域との横のつながりは薄い傾向にあると説明。ゆえに、データ分析のエキスパートであるだけでなく、交通業界全体に明るいMaaS Tech Japanからは、国の補助金制度や他エリアの状況、国内外の事例などさまざまなことを教えてもらったとも付け加えます。

複数データを組み合わせ、可視化するSeeMaaS。全体状況から課題が顕在化、次の打ち手が見えやすく

今回使ったSeeMaaS。そもそも、どんなことができるのでしょうか?

MaaSデータ連携基盤「SeeMaaS」とは

SeeMaaSは、あらゆる移動データを統合・分析し、地域の移動課題解決と価値創出につながる、データに裏打ちされた交通施策を導くためのMaaSプラットフォーム。移動データの活用により交通、環境、観光などさまざまな分野の取り組みを促進します。

MTJ 冨増

今回の取り組みでは、北陸鉄道さんから共有いただいた路線バスのODデータや金沢公共シェアサイクル「まちのり」の利用データ、また人流データなどをひとつのプラットフォームにまとめ、分析し、公共交通利用への転換を促す施策を立案しました。

1つの路線バスの動きを知るだけなら、単一事業者のデータだけで十分かもしれませんが、複合的にいろんなデータを組み合わせることで、一部しか見えない状況から、より広い視野で全体を把握できます。こうすることで、より効果や精度の高い打ち手を探ることにつながっていきます。

改めて、SeeMaaSを活用した今回の連携事業の座組はこちらです。

SeeMaaSを活用した連携事業 全体像

公共交通機関の利用を増やすために、まずはどんなことを知れたらよいのか大きく4つのテーマに分け、SeeMaaSで分析・見える化していきました。このnoteでは一部を抜粋して紹介します。

アプローチ①過度な自家用車の抑制検討(人流データ×ODデータ)

上述しましたが、金沢では毎日路線バスがたくさん走っています。しかし、マイカー依存度が高い地域でもあります。つまり、路線網はたくさんあって便利なはずなのに、人々の移動は車によってしまっているのではないか?という仮説が浮上してきます。

MTJ 冨増

バスの路線や運行ダイヤは、北陸鉄道さんのODデータやお客様のニーズを元に定められてきます。例えばこの路線は毎日たくさんご利用になる方が多いから、多めにバスを走らせようといった感じです。

とはいえ、ODデータで把握できるのはバスに乗る人の動きだけ。実際の金沢市全体のすべての人流データまでは分からないんです。マクロな視点を得るために、人流データとODデータをSeeMaaSで組み合わせ、もっと実態に近い金沢の人の動きを可視化させました。

SeeMaaSで浮き彫りになった地図上のデータです。

令和6年度 金沢MaaSコンソーシアム 第一回総会 資料から抜粋

ブルーグリーンのラインはバスの路線網で、太ければ太いほど乗客も多いというもの。ネイビーで囲ったところはバスは走っているものの、人流量に比べてバス利用者の比率が少ない地域です。

MTJ 冨増

SeeMaaSでは相対的にバスの利用率が少ないエリアを明らかにすることができました。MaaS Tech Japanからはこの気づきを元に、人流自体はあるもののバスがあまり利用されていないエリアについては、キャンペーンの実施やモビリティハブの設置等でバス利用を促進の可能性があることをお伝えしました。

アプローチ②まちのりエリアを拡大した場合の影響調査(ODデータ×まちのりデータ)

金沢市では公共シェアサイクル「まちのり」も重要な公共交通のひとつとして位置付けられています。

金沢市より提供:公共シェアサイクル「まちのり」
金沢市 近藤氏

まちのりは、ポートにいけば自転車があり、A地点からB地点へ移動できるという点で、バスや電車と同じような使い方ができることから、公共交通の利便性を高める重要な移動手段と位置付けています。

また、コロナ禍で密を避けることが求められたことも相まって、想定された観光客の利用だけでなく、現在は地元の方の利用が半数以上を占め、移動インフラとして定着しています。

MaaSとは切り離せない存在ですね。

しかし、はじめはすべてのステークホルダーが歓迎ムードではなかったそう。特にバス事業者さんからすると、近〜中距離を担う同様の移動サービスと捉え、ライバル視する傾向も強かったといいます。

北陸鉄道 加藤氏

まちのりが登場した当初は、バスの乗客がシェアサイクルに流れてしまうのではないか?といったイメージが先行してしまい、競合を危惧する考えが社内で漂っていました。

こうした肌感や憶測は実際どうなのか?同じ公共交通を支えるもの同士、共生共存できる余地があるのかを定量的にデータで分析し、明らかにすることにしました。

2023年6〜7月に実施したまちのりのポートエリア拡大実験中、SeeMaaSではまちのりのデータとODデータを組み合わせて相関関係を分析。その結果、カニバリゼーションが起こっているはずだとの予想に反し、むしろバスの利用は増加していたことが明らかになったのです。

令和6年度 金沢MaaSコンソーシアム 第一回総会 資料から抜粋
金沢市 近藤氏

実証実験時のデータを可視化することで、バスの利用者とシェアサイクルを使う人が両方増え、競合相手ではなくむしろ相乗効果を生んでいたことが分かりました。実際、ある利用者からは「ポートが拡大したことで、車で送ってもらわなくても、自転車とバスを使って通学できるようになった」との声も寄せられたんです。

競合していないことがデータとして可視化されたことで、両者の距離が幾ばくか縮まった手応えを感じています。

この可視化は大きな一歩だったと振り返る3者。

まちのりがポート拡大や新年度を迎えるときはこれまで単独で行っていたそうですが、2025年3月の式典では、金沢の移動を支える公共交通の役者が勢揃い
未来へつながる金沢交通リニューアルされた門出をお祝いし、ノーパンクタイヤを採用した第3期「まちのり」だけでなく、EV車両で運行される「金沢ふらっとバス」と、「金沢ショッピングバス」を運営する北陸鉄道が一堂に会しました。
まさにシームレスなMaaS社会が実現したいちシーンといえます。データがあったからこそ、実態を正確に把握でき、それぞれの距離が近づいたのでしょう。

金沢市交通政策課 公式Xより:お披露目の様子

アプローチ③効率的な輸送方策/連節バス導入路線の検討(ODデータのみ)

全国的な高齢化に伴い、バスの運転手さんが減少基調にあるなか、昨今各地では限りあるリソースを最適配分し、効率的な輸送方法が模索されています。

北陸鉄道でも市民の皆さんにとって便利にバスを使っていただけるようにしたいけれど増便は現実的に難しい・・・。そんな中、検討が進んでいるのが、連節バスの導入です。連節バスでは、ドライバーを増員せずとも、輸送能力を1.5倍に増強することが可能。ではどこのエリアに投資し、連節バスを導入すれば効果的なのでしょうか?

2019年の金沢市での実証実験の様子

SeeMaaSでは、現在バスを使っている人たちの人の動きがわかるODデータを分析し、連節バスの運行が効果的な場所をあぶり出し、候補地の絞り込みを進めていきました。

令和6年度 金沢MaaSコンソーシアム 第一回総会 資料から抜粋

これは、時間帯×区間ごとにバス利用者数を集計し、総利用者を線の太さで、1便当たりの利用者数を線の色で可視化したものです。ここから、大量輸送が必要なものの便数が過剰になっている可能性のある区間を明らかにしました。MaaS Tech Japanはこのデータから、連節バス導入の候補路線と時間帯を具体的に提言しました。

金沢市 近藤氏

金沢市では現在、北陸鉄道や関係各所とともに、この提言内容も踏まえながら、2027年度から連節バスを導入し、一部エリアでの実証運行を行うべく導入に向けた具体的な対応を進めています。

データは合意形成の拠り所になる有用ツール

SeeMaaSを活用した一連の取り組みを経て、それぞれ気づきがありました。

金沢市 近藤氏

データを分析して数字で結果が出ることは、合意形成の根拠や、ステークホルダー同士の目線があいやすくなるきっかけになったと感じます。路線バスとまちのりが競合しないことが明らかになったという先ほどの例にもあるように、連携の可能性が広がるとともに、物事が前に進めやすくなります。データをもとに議論することが非常に大事であることが改めて分かりました。

北陸鉄道の加藤氏も、データやMaaS Tech Japanの存在は拠り所で安心感があるとコメント。

北陸鉄道 加藤氏

今回の取り組みを通じ、事業者側としても課題を見つける力や仮説を作る力を養っていく必要があることも学びました。

MaaS Tech Japanの冨増もこうコメント。

MTJ 冨増

我々としても、金沢MaaSコンソーシアムにおいて一緒に取り組んでいく中で、いかに適切に的を絞ってデータを活用することが大事かを学ぶことができました。
個人的には、先行する ”疑惑” に対して、『データを見たらそれほどでもなかったね』と一緒に目線合わせできたことはひとつ成果だったと満足しています。

データを「起」にコンソーシアムの協力関係や次なる施策実行につなげたい

最後に今後の目指す先を聞きました。

金沢市 近藤氏

「移動」は目的があってどこかへ行くアクション。金沢市と北陸鉄道だけで完結することはできません。誰かが少し移動するだけで、交通事業者や商業施設を運営する企業など多様で数多のプレーヤーが関わってきます。

事業活動の方針や置かれた立場、バックグラウンドなど違えど、地域交通の維持・発展には、関わるすべてのステークホルダー同士の目線を合わせ、問題意識を共有し合うことが大事だと考えます。そのためにはデータを拠り所としながら、金沢MaaSコンソーシアムもハブ機能として協力関係を広げていきたいです。

北陸鉄道 加藤氏

自分たちだけがよければよいのではなく、エリアの全体最適を考えるスタンスは続けていくつもりです。金沢MaaSコンソーシアムは、金沢の公共交通の危機を一緒に乗り越えようという気持ちが起点となったためか、強固な人間関係づくりができたと自負しています。単に仲が良いだけでなく、嫌なことも言い合えたり腹を割って話せたり、そんな関係性です。

コンソーシアムの枠組みの中で取り組めた今回のデータ分析はまさに公共交通の維持・発展に向けたきっかけ。起承転結の「起」だと捉えており、交通事業者としては得たデータ結果から、その先の施策を具体的に検討し、実行していくことが重要だと考えています。

MTJ 冨増

データ分析は難しく、結局どういうことなの?どうすればいいの?と感じられる方も多いと思います。MaaS Tech Japanとしては、データの活用推進に取り組む立場として、データとユーザーの距離をもっと近づけていきたいと考えており、それが責務だとも捉えています。伴走やサポートももちろん引き続き取り組んでいきたいですが、課題を自ら見つけていけるような体制を構築していきたいです。

金沢MaaSコンソーシアムという土俵の中で、こうした仕組みづくりを一緒に検討・構築していきつつ、この好事例を全国の困っている他地域でも展開していきたいと考えています。

MaaS Tech Japanが描くMaaSが実装された世界は協力・連携の上で成立し、1社単体では実現できません。今回の協業のように、全国の自治体、バス会社や鉄道会社などの交通事業者など、さまざまなステークホルダーの方々と一緒に力を合わせてこれからも取り組んでまいります。

本件についてもう少し詳しく聞きたいというご要望はもちろん、移動や地方交通などMaaSに関するお悩みや協業に関するご相談、MaaS Tech Japanが展開する各種プロダクトやサービス内容についてなど、お気兼ねなくお問い合わせください。

  • URLをコピーしました!